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働きざかりの34歳の時に突然「成人発症スティル病」を発病。患者数は10万人に3~4人といわれている珍しい病気なだけに、得られる情報も多くないと思います。成人発症スティル病で闘病している方のお役に立てればと思い、私の体験を書かせていただきます。

<プロフィール情報>

【お名前・ニックネーム】玲奈

【年齢(性別)】39歳(女性)

【発症年齢】34歳

【出身】大阪府

【職業】会社員/営業職

1)成人発症スティル病とは? 発症当時のライフスタイル

【1】成人発症スティル病とは?

広義には膠原病の仲間にくくられる病気ですが、「自己炎症性疾患」という範疇で称される場合もあります。リウマチ因子陰性(血清反応陰性)の慢性関節炎、皮疹(発熱時に濃く出て、解熱とともにおさまる)、弛張熱(日中は平熱なのに夜中に40℃近い高熱が出る)、肝機能障害が起きたり、合併症として胸膜炎、心膜炎、間質性肺炎、播種性血管内凝固(DIC)、マクロファージ活性化症候群(MAS)、血球貪食症候群(HPS)を引き起こすこともあるといわれています。

血液検査の結果で、炎症反応(血液検査項目のCRPという値です)やフェリチン(貯蔵鉄)の値が高値を示すのが特徴的です。

【2】発症した時期と症状

発症したのは2012年の8月でした(私が34歳の時)。8月末頃から弛張熱が出始め、首から肩にかけてのリンパ節が複数箇所腫れて、骨がひっかかかっようなのどの痛み、四肢を中心とした皮疹の出現がありました。

手足と顔がチリチリかゆくなり、日光過敏なのか夏風邪をひいたのだと思い、8月上旬に職場近くの耳鼻科にかかったところ「亜急性壊死性リンパ節炎」を疑われました。

悪性リンパ腫なども疑って、実家近くの大学病院を紹介され、そこでリンパ節生検を受けることになりました。しかしその後体調はさらに悪化し、いつもの夜中の高熱と共に首から腕、背中、足と身体に筋肉痛のような痛みが出始め、痛みだけでなく自力で身体を動かせなくなり、紹介されていた大学病院へ予約日を待たずに緊急入院することとなりました。

【3】睡眠3時間で疲労困憊の当時

ありとあらゆる症状が現れました。

・弛張熱

・首から肩にかけてのリンパ節の腫れ

・のどの痛み(骨がずっと引っかかり続けているような痛み。これはかなり特徴的です)

・皮疹(高熱とともに現れ、解熱とともにひきやすい)

・息苦しさ(医師から明確に診断を受けませんでしたが、今思うと胸膜炎になっていたのではないかと思います)

・全身痛(筋肉痛のような痛み)

私はその当時、仕事中心の生活をしていました。職場から電車で20分位のところで単身住まいをしていました。早朝から深夜まで仕事をしていました。任される仕事が増え、得意先との関係も安定継続していたので、仕事の拘束時間は長かったですが毎日やりがいを感じ充実していて、仕事を楽しんでいました。連日の深夜帰宅すも全く苦ではありませんでした。

そんな仕事中心の生活でしたのでほぼ朝食抜き、昼食は外食、夕食はコンビニ弁当中心。帰宅が遅いので、夜または朝に軽くシャワーを浴びる程度でゆっくり湯船に浸かることも殆どなし。睡眠時間が3時間程度という生活が長く続いていました。そんな毎日だったので、疲労は相当蓄積されていたのだと思います。

医療イメージ

2)病気の前兆は?発症したときの状況と入院生活

【1】2年前から前兆を自覚

今思えば、発病のちょうど2年くらい前あたりから、少しずつおかしなことが起きていました。

・特別激しい運動もしていないのに、右ひざが時々痛くなって堪え難くなる(一度整形外科で診てもらったが全く異常なしと言われた)

・胃痛の頻度が増えた

・お腹の調子がおかしくなってきた(下痢・便秘を繰り返す)

・疲れがとれにくくなってきた

・デスクワークしていてもじっと椅子に座っていられないくらいイライラする

・倦怠感が強く感じる時が増えた

入院する1~2ヶ月前に、ストレスを感じることや、ショックな出来事が立て続けに起きました。この時に今まで感じたことのないほどの「心身のダメージ」を受けたと思います。肉体と魂が分離するような不思議な感覚がありました。現実逃避したい気持ちが、そんな感覚になって現れたのかもしれません。この時「私、近々壊れるな」と感じたことをはっきり覚えています。

原因不明の病と言われていますが、私は数年間蓄積されてきた心身疲労・自律神経の乱れ、疲労が溜まっているところに大きなストレスを抱えたことは、発症の引き金になったと感じています。

【2】最初は応急処置のみ

緊急入院したものの、そのときはまだ病名の診断が下っていなかったので、治療はされませんでした。応急処置として、解熱剤を飲み、抗生剤の点滴を受けていた程度だと思います。

【3】診断がつきにくい病気

成人発症スティル病は、なかなか診断がつきにくい病気と聞きます。病院にかかってもどうにも不調が続く方は、いろんな診療科のある大きな病院にかかられることをお勧めします。各診療科で連携をとってくださるので、不調の原因を早期に発見してもらえる可能性が高いと思います。

私の場合、「成人発症スティル病」と診断されたのは入院から約20日ほど経ってからでした。病名特定まで時間をかけて、リンパ節生検・肝生検・HIV検査・骨髄穿刺・CT・MRI・レントゲン・PET-CT・ガリウムシンチなど様々な検査を経ました。

【4】特に有効だった治療方法とは?

私は成人発症スティル病の中でも相当重篤な状態だったそうで、ありとあらゆる治療を経験しました。

・ステロイドパルス(1000mg×12日間)、その後プレドニン服用へ

・アクテムラ投与(1回目の後、肝機能低下し、投与中止に)

・免疫グロブリン療法(4日間)

・血漿交換(6回)

・ネオーラル(免疫抑制剤)服用

ステロイドパルスをし、アクテムラ投与をし始めるも、炎症の勢いに投与が追いつかず、何度か再燃を繰り返しました。最終手段的に「血漿交換」が行われましたが、この治療が功を奏して、ずっと高値だったフェリチンもぐんぐん低値になっていき、快方に向かいました。

【5】入院中・病院で実際に行われたこと

毎日朝食前に血液検査がありました。食事前には血糖値検査と検温、血圧測定。また、長期入院中の緩和ケアの一貫で心療内科にも週1で通っていました。ほぼ毎日何らかの点滴も受けていましたので、身体の自由は効き辛かったです。

点滴

3)退院後の生活について

【1】退院後の生活で特に大変だったこと・辛かったこと

体力低下と薬の副作用がとても辛かったです。ステロイドの大量投与のせいで、ステロイドの副作用が顕著に現れました。

・顔のむくみ

・野牛肩

・妊娠中のようにお腹が大きくなった

病気をする前に比べてルックスが大きく変わってしまい、周囲からは哀れな目で見られるのが辛かったです。自分を鏡で見てもまるで別人のようで、最初のうちは自分自身もその変わりようを受け入れられませんでした。

また、筋力低下のため、歩くたびに足が地面にめり込んで行くかのように身体が重く感じ、すぐに息が上がってしまうようになりました。普通のスピードで歩けるようになるのに、私の場合は6ヶ月以上かかりました。

【2】退院後の失敗談・注意すべきこと

ステロイド服用30mg/日以上だと身体の抵抗力が落ちるため、感染症にかかりやすいと言われています。私は退院後2週間でひどい胃腸風邪にかかり、再入院しました。

服用30mg以上でなくともステロイドを服用しているうちは感染症に注意して、人混みを避け、手洗い・うがい・マスクは欠かさないようにした方がいいと思います。本当に抵抗力が落ちていますので侮ってはいけません。

【3】自宅・職場で気をつけられたこと・家族のサポート

8月から12月まで4ヶ月入院しましたが、元の職場に復帰が果たせました。なるべく負担を軽減できるようにと、外回りの営業職から内勤に異動してもらえました。売上ノルマがなくなったことは、かなりのストレス軽減になったと思います。

また、元々職場近くで単身住まいでしたが、退院後はずっと倦怠感が強くて、また再燃した時のことを考えると心細くなったので、実家近くに引っ越しました。身近に家族がいるだけでも心強いです。退院後の生活で大切なのは、ストレスの少ない生活です。

【4】「成人発症スティル病」の治療において生活習慣で大切だと思うこと

私の場合は、毎日ストイックに暮らして来たために自律神経を大きく乱し、慢性的に睡眠不足だったことが良くなかったのではないかと思っています。成人スティル病に限らず、身体を壊さないために下記が最も大切だと痛感しています。

・1日3食きっちり摂る

・毎日睡眠時間を確保する(1日6時間以上)

・自分を追い込まない(無理をしない。完璧を求めすぎない。しんどいときは人に頼る)

・ストレスを溜めない(ストレスは週末の休みに気分転換してしっかり発散させる)

4)闘病にかかった費用と近況

【1】検査・通院・治療費のお金の実情とは?

入院中にかかった費用は総額120万円ほどでした(検査・治療費 約20万円/月、部屋代 約10万円)。発症から5年経った今も、1ヶ月半に1度通院を続けています。

退院後1~2年までは通院費・薬代が1回あたり3万円ほどでしたが、成人発症スティル病2015年から難病指定になり、その後負担額が軽減されました。私の場合は1ヶ月の通院にかかる費用が上限2万円になりました。

日に日に服用する薬が減って来ていて、発症から約5年経った今は1回の通院費・薬代は5000円程度。退院後から今日まで5年間でかかった検査費・通院費・治療費の自己負担額は約60万円ほどだと思います。

【2】現在の病気の症状

再燃の予兆も全くなく、いわゆる「寛解状態」をキープしています。しかし、薬の大量投与の後遺症なのか、こんな症状が残っています。

・神経過敏(ガラスをひっかく音に敏感になるのと同じように、紙がこすれる音でも耳をふさぎたくなる。熱いもの・冷たいものを口に入れると歯にしみる)

・手の皮が薄くなった(手のひらから熱が伝わりやすく、スマートフォンを長く操作していると手が痛くなったりする)

・時々手の指関節が痛くなる(変形は起きていません)

・慢性的に倦怠感がある(でも日常生活に支障がない程度です)

・低体温と低血圧

薬は、今はプレドニゾロン1.5mg/日とビタミン剤、週に一度の骨の薬(フォサマック)を飲んでいるだけで寛解を維持できています。

内服薬

5)病気を通してお伝えしたいこと

【1】治療期間・闘病生活を振り返って感じたこと

突然体調が悪化して緊急入院した当初は、自分のことでないような気がしていて、自分の身に起きたことであると認めなくなくて「私が何をしたっていうの」「毎日頑張って生きて来たのにどうしてこんな目に遭わなければならないの」と悔しくて苛立っていました。

ただひたすらベッドの上で安静にし続ける日々、いろんなことを考えました。「どうしてこんなことになってしまったのか」と、自己反省も沢山できました。

周りから「ちゃんと休まないと身体壊すよ」と言われても、無理をしている自覚のない私は「おせっかいなことを言わないでくれ」くらいに思っていましたし、「心身ともに私はタフだ」と過度な自信があったので、自分で自分を追い込む癖がありました、ストイックに仕事もしてきました。あれ以上仕事三昧な生活をしていたら、過労で命を落としていたのではないかと今では思います。

病気をしたことで「生活のすべてを一旦リセット」し、自分の生活スタイル・自分の考え方を省みることができました。私にとってこの病気体験は長い人生において必要な出来事だったと今は思えるようになりました。

【2】周囲の沢山の人への感謝の気持ち

主治医との出会いにも感謝しています。入院中再燃を繰り返した時、家族からは転院も勧められました。ですが私は主治医の治療方針に常に異論がなかったですし、主治医を信頼できました。主治医との信頼関係があったからこそ、治療がうまくいってここまで元気になれたのだと思っています。

主治医や研修医さん、介護助手さん、薬剤師さん、看護師さん。たくさんの方に支えられました。家族にもたくさん心配かけました。家族の支えがなければ入院生活も不便なことばかりでした。帰りを待っててくださる職場の方や友人も含め、自分の周りの人への心からの感謝の気持ちが生まれました。自己反省と周囲の人への感謝の気持ち。人はひとりでは生きて行けない。入院生活での大きな「気付き」でした。

6)同じ症状の改善・治療に励んでいる方へ

【1】とにかくストレスフリーで安静な生活を

私は入院中は治療が難航して合併症も複数起こした重篤患者でしたが、この5年の間に再燃することもなく、元気に日常生活を送っています。入院中はご不安なこともあるかと思いますが、とにかく安静にお過ごしください。入院中のストレスは治療に悪影響を及ぼしますので、主治医や看護師さんに身をまかせて、治療に専念なさってください。

一度病気になってしまった現実は変わりません。病気をした現実を受け入れるのはとても難しいです。私も最初はなかなか我が身に起きたことを受け入れられませんでした。でも病気と共存するようになって、自分を労ることができるようになりました。常に自分の身体の調子に耳を傾けるようになりました。自分をいい意味で甘やかすことができるようになりました。病気をしなければ一生気づけなかったであろう「謙虚さ」を持つこともできました。

【2】生きていくことの尊さを教えてくれたこの病気

この病気は「頑張り屋さん」がなりやすいと良く聞きました。自分を追い込みすぎず、人の手も借りながら、せっかちにならずに、周囲の人に感謝の気持ちを忘れずに、発症前よりも少しゆったり穏やかに過ごすようにすると、いくらか病状の緩和につながるのではないかと実体験を元に感じています。

私は、病気とうまく折り合いを付けながら共存しています。病気をしたことで人の苦しみや弱さ、優しさを知り、生きていくことの尊さを知り、今までの自分の考え方・生活の仕方を省み、様々な「気付き」を得ました。そして、人に心からの感謝の念を抱くことができました。

私にとって病気になったことは必ずしも悪い経験ではなかったと思っています。病状によって感じ方は人それぞれですが、私のように完治に近いくらいの寛解状況を維持出来ている患者もいます。同じ病気と向き合っている方、一緒に病気と向き合って焦らずゆっくり治療を続けましょうね。

まとめ

【1】慢性的な不調があって通院しても解決しないときは諦めずになるべく診療科を多く併設している大きな病院へ

【2】入院時は主治医とよく話し合い、分からないことはしっかり聞いて信頼関係を構築(スムーズな治療に繋がる)

【3】ストレスは溜め込まずに定期的に解消させる(気分転換できる時間を多く持つ。ストレスは万病のもと)

【4】周囲の人への感謝の気持ちを忘れずに日々生活をする(自分は一人で生きているのではない。周りに生かされている)

【5】睡眠時間は6時間以上、食事は1日3食摂り、毎晩入浴をして1日の疲れを癒すなど、規則正しい生活を心がける(自律神経を乱さない生活)

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