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私の母は肺がんで亡くなりました。発見も遅く、がんが見つかった時にはすでにステージⅣ期でした。ステージⅣ期でがんを告知された本人も家族である私も、あまりに急なことでとてもつらい思いをしました。

母を見送った経緯について、介護側からの目線でシェアさせて頂きます。このコラムを読んで、同じような介護の立場である方の支えになれば、と思います。

<プロフィール情報>

【ペンネーム】ふわり

【年齢】46歳

【出身】大分県

【職業】店舗経営

<患者さんプロフィール>

【治療期間】5ヶ月

【発症年齢】65歳


1)「肺がん」とは?当時の状況と病気の原因

肺がんとは、肺の入り口の太い気管支に発生する中心型肺がんと、肺の奥の方にある細い気管支や肺胞に発生する末しょう型肺がんに分けられます。主に喫煙者は中心型肺がんにかかりやすいです。私の母も喫煙者でしたので、中心型肺がんでした。

【1】当時の家族の生活状況

当時、母は精神病院に入院中でした。入退院を繰り返していたのですが、自宅に帰っている時発熱して近所の内科で診察をしてもらい、その時撮ったレントゲンで腫瘍が見つかりました。

当時、母は父と二人で住んでいたのですが、鬱傾向だった母は精神病院の入退院を繰り返していました。しかしどんな時もタバコを吸っていました。

【2】発症の考えられる原因

肺がんは、喫煙と深い関係があるがんです。

(1)タバコ

私の母は40年以上タバコを吸っていました。これが大きな原因であると医師からも言われました。

(2)有害物質

タバコに含まれる有害物質は200種類以上と言われます。タバコを吸うことで、この有害物質が体内に入り、細胞のDNA組織に傷をつけるため、がん細胞が発生するきっかけになってしまいます。タバコを吸う人は、吸わない人の4.5倍、肺がんのリスクがあるそうです。

【3】母の4つの代表的な症状

母は偶然胸部X線検査(レントゲン撮影)で影が見つかり、CT撮影で腫瘍が見つかりました。しかし時はすでに遅かったのでステージⅣの末期がんでした。母のようにがんの発見が遅れる人は多いそうです。

症状の予兆や前兆症状としても、肺がんの初期症状は風邪にとても似ています。常に寒気・体の冷えなどがするようでした。風邪にしてはあまりに長引くなと感じたら、早めに病院の受診をオススメします。

(1)体の冷え

母はいつも体が冷えて寒いと言っていました。「体温が1度下がると免疫力もぐんと落ちる」とよく言われるように、がんになるとどんどん体の冷えが目立ち始めます。

(2)微熱が続く

肺がんの症状は風邪によく似ています。あまりにも微熱が続くようでしたら注意してください。

(3)胸の痛み、声帯が傷む

人によっては胸の痛みが出たり、声帯が傷んで声が出しにくくなったりするそうです。私の母も声がハスキーでしたが、喫煙者にありがちなガラガラ声かなと思っていたので、発見が遅れました。

(4)血痰

咳をした時に、血痰が出ている時も要注意です。このような場合は、健康診断を受けることをオススメします。

母は健康診断などで何度もレントゲン撮影の機会がありましたが、ずっと腫瘍は見つかりませんでした。それは、心臓の後ろに腫瘍があったため、心臓よりも腫瘍が大きくならなければ見つけにくかったそうでした。

それでかなり腫瘍が大きくなり、ステージⅣ期での発見となりました。それまでも寒い寒い、とよく言っていましたが、ただの風邪だろうと思っていました。

【4】発症当時の対応と対処方法

ステージⅣ期だったため、自宅療養は難しい状況でした。微熱が続く中で突発的に40度の高熱も出ていたため、がんの末期は熱との戦いでした。

手厚い看護とゆるやかなケアをしてくれるホスピスに入ることを希望していたため、ホスピスに連絡を取り申し込みなどをしました。

ホスピスの個室

2)ホスピスでゆっくりと過ごしてほしい事を告げる

ステージⅣ期になると、治療をしてもなかなか完治は望めません。がんの進行をゆるやかにするための薬を飲むか、そのまま自然に死を迎えるか、の選択をしなければなりませんでした。

母は子どものころから波乱万丈な人生を送った人でした。最後くらいは、快適な空間でゆっくりと過ごしてほしいという思いから、ホスピスを選びました。ホスピスは、患者さん自分自身ががんであることを受け入れた人しか入れません。母の場合、告知はすでに受けていたので、その点はスムーズでした。

【1】検査方法

まず胸部X線検査(レントゲン撮影)にて検査、CT撮影、その後、痰の中にがん細胞が混ざっていないかを検査する喀痰細胞診、口や鼻から気管支鏡で見る気管支鏡検査をしました。

ホスピスに入る前は胸部X線検査(レントゲン撮影)、血液検査などでした。この検査は亡くなるまで定期的に続きました。

【2】手術・治療方法は?

治療方法はほとんどありません。抗がん剤も強くは勧められませんでした。しかし、末期になるにつれて、がんが肺の外まで侵入したり骨に転移したりするため、痛みは増してきます。痛み止めによる緩和法で治療しました。最後にはモルヒネの調整をしてもらっていました。

手術はステージⅣ期でしたので、勧められませんでした。がんの進行が少しゆるやかになる先進医療も30万円からと勧められましたが、母が希望しませんでした。

【3】ホスピス入院時の体験

ホスピスはとても穏やかなところでした。人間らしく生きることがベースにあり、アメニティも整っており、本当に快適な空間でした。完全個室だったため、部屋には家族が止まるスペースもあり、母は会いたい人にもゆっくり会えた幸せな最期でした。

【4】医師から言われたポイント

ホスピスはただ死を待つところではなく、「母が人として生き抜く場所」を作ってくれた気がします。母の一生の中でも、ホスピスで過ごした時間が一番人間らしかったと思います。

看護師

3)治療期間での母との体験談

【1】余命半年の母に「寄り添い続ける毎日」

母は余命半年と宣告されてすぐにホスピスに入ることが出来ましたが、それから5か月後に亡くなりました。死が近づくにつれ、痛みも増します。母はあちこちに転移していたため、痛みも強く本当につらそうでした。

がんの患者さんに対して、周囲の人が一番してあげられることは、「ただ寄り添うこと」です。患者さんもそれを一番望んでいます。末期のがん患者さんは、痛みが増してくるとその痛みにイライラして、まわりに八つ当たりをしてしまうことも多いです。

そんな時周りの人に一番影響があります。私もなんども母に八つ当たりされて、そのたび悔しくなりました。思わずカッとなって怒ってしまったこともありました。思えば、母はずっとただ寄り添ってくれる人が欲しかっただけなのでしょう。

淋しい気持ち、不安な気持ち、いろんな思いが溢れてきます。体だけでなく、精神もきつくなってくるのが末期のがんです。最期の時まで、母とケアする側の私に、心のすれ違いが無く過ごせると良かったなと思います。

【2】余命はその通りにならないもの

末期がんの場合、余命宣告を受けてもその通りにはいきません。余命より長く生きる人も居れば、短い人も居ます。母の場合、容体は急変してあっという間に亡くなりました。ケアする側は、病院の先生とともに患者さんの呼吸などよく観察しておくことが必要です。

【3】介護をしていた私の家族状況

介護をしていた私にも家族がいました。受験生の子どももいて、子どものサポートの合間を縫ってお見舞いに通いました。

しかしその時も、ホスピスのスタッフさんたちから「お子さんはもうゆっくり過ごしてね」と言われていました。もし患者さんが入院されているならば、ある程度病院へお任せすることも大切です。

【4】治療において毎日の生活習慣で特に大切だと思うこと

肺がんの原因は、喫煙と生活習慣にあります。

(1)食生活

バランスの良い食事というのは、免疫力を高めてくれます。がんの患者さんは免疫力も抵抗力も落ちています。日ごろの食生活は、数年先の健康に繋がります。特に一人暮らしのひとなどは、「一人だからいいや」と適当な食事をしてしまうことや食生活が乱れがちになります。若いころから食を意識することはとても大切です。

(2)睡眠

がんになる人は、ストレスがかかりやすい人とも言われます。睡眠障害の人も多いです。睡眠は最大の防御になりますので、しっかり睡眠をとって体を休めることは健康の要です。

(3)たばこ

肺がんの大きな原因としてたばこがあります。またたばこは、肺がんだけでなくがんの原因になるとされていて、日本人に一番多い胃がんも喫煙者の割合がとても高いです。たばこは出来れば禁煙しましょう。

【5】具体的にかかった費用面について

ホスピスはいわゆる緩和ケアをしてくれる緩和ケア病棟になります。高額療養費の申請を行って、限度額までの金額を支払っている人が多いです。経済的負担を減らすためにも、必ず高額療養費制度の申請はしておきましょう。

ただし、先進医療を受けるとその分は自己負担になります。

・入院費用:入院30日の場合

医療費49,260円/1日×入院日数×医療保険自己負担率

これに食事療養費がかかります。家族が一緒に泊まって食事をする場合などは、家族の食費がかかります。

カルテに記入をしているナース

4)ホスピスでの生活を経て感じていること

【1】とにかく「寄り添うこと」を第一優先に

末期がんの闘病生活は、私が経験した中でもかなり壮絶なものでした。弱っていく親を見るというのはいつの時もつらいことでしょうが、死が近いとわかっている人を見るのは何とも言えない悲しみがこみ上げてきます。

しかし、基本はどうすることもできないのです。ホスピスのスタッフさんから「特別扱いして、生きているうちにたくさんのお願いを聞いてあげよう」ではなく、「たくさん寄り添っていこう」のスタンスでいくと、どちらにも優しいやり方になると教えていただきました。自分のエゴでお世話をするのではなく、寄り添う気持ちになることはとても大切だと感じます。

【2】病気の発症からその後

母はがんが発覚して、その後5か月で亡くなりました。がんの最期は人それぞれでしょうが、母はモルヒネで意識がない日が数日続き、その後亡くなりました。

【3】ホスピスに入院できたことは幸せなこと

自宅で療養しながら最期をむかえる人も多くなりましたが、それに近い形でホスピスでは過ごすことが出来ました。母がホスピスに入院できたことは、本当に幸せなことでした。

余命宣告から亡くなるまでがあまりにもはやかったため、事務的な手続きにも追われっぱなしでした。病院の入院だけでもたくさんの手続きが必要ですが、ホスピスなどの末期がんの場合は、医師ともたくさん話すことがあります。

介護をする人は一人ではなく二人は居ると良いでしょう。決して一人で抱え込まないようにしてください。

5)がん患者さんの介護をしている方へお伝えしたいこと

【1】自分の生との向き合いに

まず、介護をされている人、本当におつかれさまです。頑張りすぎないようにしてください。そして泣きたいときにはたくさん泣いてください。

わがままも言ってください。がんの介護をしている人は、生きていく人です。これからも生き続けねばならない人なのです。

死を目の当たりにすると、一番自分の生と向き合います。私には、とても必要な経験だったと思います。だから、どんな時も自分の生活、ご家族が居る人は自分とご家族の生活を中心に動いてください。無理をし過ぎないようにしてくださいね。

【2】「特別扱い」はしない

母が入院したホスピスで言われた一番印象に残っている言葉は、「がんの人の介護をする時、患者さんを特別扱いするのではなく、出来るだけこれまでと同じように接してくださいね」と言われたことでした。尽くすことが愛だと思っていた私の考えとはまったく違い驚きましたが、人にとって本当にかけがえない宝物は、平凡な日常だそうです。

普通の暮らしができることが、死に向かう人にとっては一番大切なことであると教えてもらいました。

また、患者さんだけでなく介護の人も心身ともにつらい状況になります。患者さんを支えることだけに没頭せずに、自分の時間をしっかり持って、これからも生き続けるためにバランスを取っていってくださいね。介護する側にも、患者さんと同じようなケアが必要な人間であるということを忘れないでください。

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