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私は3歳の終わりに1型糖尿病を発症しました。今となっては健康だったことを知らないので、糖尿病のある暮らしが日常です。

今回はこの長い糖尿病との生活の中で起きた、様々な経験をお話しします。いま1型糖尿病と生きるようになって、戸惑いや悲しみの中にいる方のお役に立てたらと思います。

1型糖尿病と37年間共に生きた症状から治療までの私の実話

<プロフィール情報>

【イニシャル】H・H

【年齢】40歳(女性)

【出身地】北海道

【職業】専業主婦

1)1型糖尿病って?発症当時の生活状況とは?

【1】1型糖尿病との出会い

両親と2歳違いの姉の4人暮らしでした。生まれつき体が弱く、1日おきに病院に通うほどの弱さだったそうです。はしかにかかった後、突然水を異常に飲むようになり、トイレに行きたがったそうです。尿に泡が立ち、リンゴのような匂いがすることに気付いた母が、大学病院の小児科へ連れていってくれたのが診断のきっかけです。

どんな検査をしたのかは覚えていません。覚えているのは、母が小児科の窓口の方を見つめて泣いていたこと。私はその母に抱きしめられて、ただぼうっとした頭で立っていました。どうもはしかに罹患した時に、自己免疫が自分自身の臓器を攻撃したようです。

人間の体はランゲルハンス島から分泌される「インスリン」と「グルカゴン」によって血糖値がコントロールされ、思考や運動機能を正常に保つようになっていることは、皆さんご存じのことと思います。しかし、私にはそもそもその発生場所がありませんので、この時から糖尿病の中でも最重度とされるタイプの1型糖尿病となったのです。

【2】1型糖尿病の治療

1型糖尿病の場合の治療としては、以下のことが厳密に行われます。

・運動療法

・食事療法(1日の摂取カロリーを設定され、それに合わせて栄養素も決められた中で食事する)

・インスリン自己注射(皮下注射となるので、そのための訓練を入院やサマーキャンプなどで習う)

2型糖尿病の人も投薬治療を受ける人がいますが、私の場合はインスリンを注射しないと食べることもできません。また、カロリーは消費するため、食べないとどんな運動も難しくなります。自前のグルカゴンがないので、消費したカロリーを補うことができないからです。

3歳の私はすぐに母とともに3週間の入院生活を余儀なくなれ、母が教育とインスリン注射の練習などをする間、医療スタッフによって遊びを通じた運動療法や、他の臓器に影響が出ていないか、とにかく検査の毎日を過ごすことになりました。

2)どんな症状が現れる?対処・治療方法とは?

【1】生活の中での血糖測定とストレス

1型糖尿病の場合、「自己血糖測定器」が支給されます。朝起きて指先に針を刺して血糖値をはかります。注射をして、食事をして、家を出る際ににもう1度は測定器で測ります。正常範囲より高ければそのまま外出できますが、低いとまず遅刻決定です。

授業内容によっても血糖値は変動しますので、保健室には常に私のための補食が色々用意されていました。しかし、中学生になって月経がはじまると、ホルモンバランスやストレスのせいでインスリンが効かなくなったりしました。ケーキなどを食べられる機会に限って、血糖値が高くて食べられないということが増えたりして、病気であることのストレスが高まることも増えました。

血糖値のコントロールの指標となる「HbA1c」というものがありますが、これが本来6%以下にするべき数値ができないことの方が多く、母は自分の食事がいけないのかと悩んでいました。私も頑張って運動しても、思うように下がらない血糖値にイライラすることは多くなりました。

このHbA1cが低ければ、健康な人と同じように暮らせるということは、ずっと医療スタッフに言われてきたことです。とにかく「下げられないとダメ」という雰囲気がとても辛かったことを覚えています。食べたい盛りに食べられないことの苛立ち、インスリンを打って無理に食べれば太ってしまうことのストレス、高血糖と低血糖の繰り返しで体も確実にダメージを受けていました。

【2】血糖コントロールの理想

血糖コントロールがよい状態というのは、

・低血糖(50以下)にならない

・高血糖(250以上)にならない

というもので、インスリンを打つタイミングや量、運動量や食事量を細かく精査しないと良好に保つことは難しいとされています。食後に250以上にならないのは難しいけれど、その時間を短くすることはできます。仕事や生活をしながら、それをきっちり行うことの難しさを、母の手を離れて20年経つのに今だに痛感する毎日です。

【3】恐ろしいのは合併症

「血糖値のコントロールを良好に」と神経質になるのは、糖尿病には恐ろしい合併症が出るからです。

・糖尿病性腎症(悪化すると血液透析が不可欠)

・糖尿病性網膜症(悪化すると失明)

・糖尿病性神経障害(手足の感覚異常や自律神経系異常)

が大きなところですが、それ以外にもちょっとしたキズが治らない、腐りやすい、風邪やインフルエンザが肺炎になりやすいなど、健康な人には考えられないだろう脅威があります。

もちろん血糖コントロールがよければ、そんなことは脅威ではありません。ですが、HbA1cが7%以上の場合、ただ1日を生きているだけでも結構なストレスがかかるのです。健康な人よりずっと疲れやすいこともあり、私にとっては糖尿病と生きることは、様々なことを諦めることの連続でもありました。

治療を受けている女性の患者

3)病院との二人三脚が不可欠!通院内容とは?

【1】1ヶ月に1回の通院習慣×病院のサポートで生活が成り立つ

今までお話した通り、1型糖尿病は病院との密な連携が不可欠です。1か月に1回は通院して体重計測や採血・採尿をして分析してもらうことはもちろん、3か月に1回程度は体脂肪の測定、大腸がんにもなりやすいことから、年に1度は検便、骨や肺機能、神経や血管の検査を行います。

また、風邪が劇症化したり胃腸炎になったりしても、1型糖尿病は入院するのにも受け入れ先に知識が足りなければなりません。怠ってしまうと、あっという間にコントロール不良になったり症状が重度化することになってしまいます。その事からかかりつけ病院に、いつでも連絡がとれるようにしておくことも大切です。

結婚や出産などのライフイベントの際には、周りの家族と病院スタッフが顔見知りになっておくことが必要となりました。出産に関しては、長期入院での体調の調整が必要な場合も多くあります。

就職の際には医療スタッフに職種などの相談ができていた方が断然心強いですし、勤務時間などの待遇によっては就職そのものが難しい場合もあります。長く幸せに生きていくために、他の病気よりはよいパートナーを必要とする病気でもあります。ちょっとしたことで、「近所の病院でどこでもいいから診て貰おう」ということはしない方が安全なのだな、と痛感することが多くて、そこも一緒に生きるには辛い病気ではあります。

【2】治療費とは?

また、治療費に関しても安くはありません。「指導料」という診療報酬の項目がありますが、それだけで7000円はかかります。その他に血液検査、尿検査、レントゲンなどが入ると1万円を超えることもありますし、インスリン注射薬は1本800円程度なので、本数が多いとそれだけ負担も多いです。毎年医療費控除の対象となるので、還付申告の時期まで気が抜けないところはあります。

4)日常生活・家族のサポートとは?

【1】理解してもらうことのむずかしさ

就職活動で必ず言ったことは、「毎月受診しなければならないことを了解してほしい」「時々低血糖を起こすことがあるので補食させてもらえるとありがたい」「昼食の時間はできるだけ決まった時間にしてほしい」ことでした。

最初の受診についても担当者の方が、一瞬「え?」という顔をされるけれど、「補食」「昼食の時間」についてはもう「困惑」という表情をされるところが多かったです。

私は福祉の仕事を希望していたので、休憩時間はほとんど利用者さんの都合で決まるから、余計に困惑されていたのでした。幸い、いくつか受ける中で「それはかまわない」と言ってくれるところがあり、就職することはできました。それでも時折、ひどい低血糖を起こして仕事に穴をあけることはありました。ストレスや疲労で風邪をひきやすくなったし、疲れやすさも健康な人の倍ですから結婚とともに正社員の仕事は辞めさるを得ませんでした。

【2】結婚とともに生活習慣も変化

実家暮らしであれば、決まった時間に起きて血糖を計って、食事をして、少し運動したらまた眠るということもできました。しかし結婚すると休日の過ごし方は激変しました。

特に年末年始やお盆などの帰省の時に気苦労も多くなりました。それまでは、家族も私の病気をよく分かってくれているので、食事内容もきちんと計算して栄養素もしっかりしたものが気兼ねなくと摂れますが、婚家だと朝から酒盛りでお昼は食べないということもあって最初はとても戸惑いました。

嫁である以上は強くも言えず、勝手に台所を一人で使うこともはばかられ、4年くらいは帰省が辛かったです。しかし何度か帰省中に低血糖を起こしたり風邪がひどくなって寝込むなどした時に、夫が話してくれたようで、食事や様々な時間の過ごし方に理解を示してくれるようになりました。

今では他の家族は家で寝ていて、私だけ食事を軽く作って食べていることもできるようになったし、他の家族は野菜や炭水化物を摂らないけれど、私だけそれらを食べることもできて助かっています。

総合病院

5)病気を経験を振り返っていま率直に思うこと

1型糖尿病は、私にとってはもはや「日常」そのものです。時々「病気にならなかったら・・」と考えてみるけれど、やっぱりそれは「私」ではないと思います。たくさんの「しんどい」と思ったことも、困った症状も、振り返れば仕事をする上ではとても役に立ちました。人間関係においても「私にくっついてくるこの病気の不具合」をひっくるめて大事にしてくれる、気楽な友人ばかりです。

こちらも友人たちが困った時にはサポートしてくれた分を真摯に返そうと、段々と思えるようになりました。正直、お金の面では困ったことはありますが、それ以外の人生として評価するならば。この病気のお陰で随分と豊かなものになったな、という思いです。

6)同じ症状の方々へ伝えたい想い

きっと同じ症状に直面されている方は、食べることが思い通りにならないので、そのことをストレスに感じたり、思うようにHbA1cが下がらなくてイライラしたりすることは多いと思います。

医療スタッフに「頑張りが足りない」と言われているように感じておられる方も病院でお見かけしますが、私は「自分の人生に責任を持つ」ということをとてもシンプルにさせてくれる病気だと思っています。

食べることが大事なら食べればいい。ただし高血糖は具合が悪いので運動かインスリンを注射すればいい。思うようにHbA1cが下がらなくて困っているなら、思い切って入院して、治療法を大きく変えることをオススメします。

それをしたくないなら目標をものすごく小さく設定するしかないでしょう。千里の道も一歩から、です。医療スタッフに「もっと頑張れ」と言われることが不快なら、「今できることを精いっぱいやって、このレベルを保っていることを理解してほしい」と伝えましょう。

この病気は生きることそのものが本当に大変です。生きている。目が見えている。一応普通の食事がとれている。それは精いっぱい頑張っているということです。自分が楽しめなければ、周りの人も一緒に生きることは辛いものです。ご自身が幸せでいる為に、しなきゃいけないことを続けてみてください。

まとめ

【1】発症したての頃はとにかく自分の血糖値の波をつかまえましょう

【2】血糖値をコントロールするのは大変なことだとゆったりかまえましょう

【3】合併症を防ぐために受ける検査はちゃんと受けましょう

【4】病院のスタッフとよく話すようにしておきましょう

【5】家族や職場の人に、どんなことが起きるのか、そういう時にどうしてほしいかを伝えておきましょう

【6】一生続く治療の中で、自分の幸せを守るためにしなければならないこと(低血糖や高血糖を防いで倒れないためにできること)は何かをシンプルに考えるようにしましょう

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