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私には現在24歳の息子がいて、最重度の自閉症です。息子が1歳半検診の時に「発達障害の疑いあり」と診断を受けました。自閉症に有効だと思われるさまざまな療育を家族で行ってきました。

同じような境遇の方々に、このコラムを読んで少し将来に見通しが持てて、気持ちが明るくなってくれると良いなと願います。

<プロフィール情報>

【ペンネーム】ふわり

【年齢】46歳(女性)

【出身】大分県

【肩書き】店舗経営

<発達障害の息子>

【治療期間】23

【年齢】24歳(男)

【発症年齢】1歳6か月

1)「発達障害」とは?

発達障害とは、脳機能障害であり、その分類はさまざまです。息子の場合は自閉症でしたが、知的の遅れを伴う発達障害になります。同じ自閉症でも、知的発達には問題のない人も居ます。

発達障害は脳の病気ですので、完治はありません。しかし適切な訓練と周囲の理解により、症状が改善されて社会に適応できるようになることも多いです。

【1】自閉症の子が生まれる原因

100人に1人の割合で自閉症の人がいる、と言われる現代ですが、自閉症の子が生まれる原因はまだ特定できていないのが現状です。現在分かっていることは脳の障害であるということですが、発達の速度や才能の開花については未知なる部分も多いです。

障害の遺伝性も明確にはされていません。自閉症の親から産まれる子どもが自閉症ではないケース、健常の両親から生まれる子どもが自閉症であるケース、また複数の子の中で1人のみが自閉症でほかの子どもは健常のケース、子ども全員が自閉症のケースもあります。遺伝する確率も含め、まだわからない領域のことが多いです。

【2】障害があるとわかるまで

「もしかしてこの子には障害があるのでは?」と夫婦で不安に思っていた時に、受診した市の1歳半検診で「発達障害の疑いあり」ということを伝えられました。聞いた当初はとてもショックでしたが、「やっぱりな」と思うところもありました。それほど健常の子どもとの差はあったのです。

【3】第1子の誕生-初めての子育て

21歳で息子を出産し、私自身初めての子育てで戸惑うことばかりでした。しかし子どもについてわからないながらにも、公園に遊びに行って同世代の子どもと遊ばせたときに、息子は周囲の子と明らかに違っていました。

特徴的な行動として、公園の遊具では全く遊ばずに、止まっている自転車の車輪を手で回し続ける、自転車の車輪回し以外はひとところにじっとしていられず引っ繰り返って泣く、突然車道に飛び出して暴れるなどの多動さがあり、いったん外に出るととても疲れて帰ってくる日々でした。

公園の新緑

2)障害の特徴とは?私の息子の症状

自閉症の子は、視線が合いづらいです。目を合わせることがなく、他人に興味がないように思えました。

【1】症状の予兆や前兆症状

乳児期は成長発達が正常だった息子ですが、1歳になって歩き始めたころにかなり特徴的な行動が目立ち始めました。

手をつないで歩くことをとても嫌がり、好きな方向へあっという間に歩いていくので、まったく目が離せなくなりました。

【2】代表的な症状

自閉症の子の特徴的な症状で、言葉のオウム返しがあります。息子の場合も発語が遅い、言葉が出にくいなどの症状があり、言葉が出始めてもすべてがオウム返しでした。「りんご食べる?」と聞いても、「りんご食べる?」と同じように言葉を繰り返すので、会話が成立しません。

【3】当時の心境

手がかかることが多い幼児期は特に目が離せず、子どもと常にセットで行動していました。健常の子どもを育てる過程の育児とは全く違い、常に時間に追われていました。

世間で言われているような「ママ友と子どもで遊びに行く」なんてことは無縁の世界で、世の中とはどんどん距離が遠ざかっていくように感じていました。

3)病院で実際に行われた療育

1歳半検診にて、地域の発達障害センターの受診を進められて「広汎性発達障害」(自閉的傾向)と診断されました。

発達障害の人には自閉的傾向というのは多く含まれる要素ですが、息子は特に強いかもと言われ、自閉症ではないかと言われました。

【1】病院探し

自閉症を専門とされている病院を探していましたが私の住む地域には専門病院はなく、他県の子ども精神クリニックにて「自閉症」と診断されました。その後3年は発達状況をみてもらうため、他県まで通院しながら、地域の療育センターに通所しました。

【2】さまざまな療育方法

息子は言語療法と感覚統合訓練を受けていました。

(1)言語療法(ST訓練)

息子が自閉症と診断された当時は、発語がなかなかなく「アー」「ウー」という言語と指さしで全ての意思を伝えていました。そのため意思が通らないことも多く、機嫌が悪くなると奇声を発していました。このような発達段階で発語がなく可能性が未知な時期でも、言語療法(ST)の訓練を提案されることが多いです。言語療法士が絵カードやサインを使って発語を促し、発達障害児のコミュニケーションスキルをつけていくという言語療法でした。

(2)感覚統合訓練(OT訓練)

作業療法とは、遊びや行動を通して、体の動きや感覚が日常的なことに適応しやすくなるための訓練です。発達障害や自閉症の子は、手先の細かい動きが苦手な子が多く、みかんやバナナの皮をむく・お箸の練習など細やかな手先の調節を訓練していったりしました。

また感覚過敏を緩和するということで、ボールプールの中で思いっきり遊ばせて、たくさんのボールが体全体に触れているという感覚を楽しんでいく、など遊びの中からもたくさんの訓練がなされていました。

カルテを記入している看護師

4)特に効果を実感している療育方法

【1】息子の訓練で特に有効だったのは「音楽療法」

自閉症の療育について調べている時、アメリカのノースカロライナ州で自閉症の音楽療法が積極的に行われていると知りました。日本でも数名その指導法を実践されているお弟子さんがいることがわかり、その指導をしてくれる方を探して、6歳から週に1回、4年間音楽療法を行っていました。毎回プログラム編成は変わり、実際に楽器演奏をすること、ミュージカル的な紙芝居を見て音とリズムを感じてもらう時間と流れにメリハリがあり、非常に充実した流れでした。

音楽療法中に使う曲も、ノースカロライナで実際に使用される自閉症児にわかりやすいメロディーに日本語歌詞をあてられて編曲されており、記憶に残りやすくセッションに加わりやすい曲でした。

楽器演奏で主に使う楽器はハンドドラム、太鼓、ハンドベルなど、自分の意思で音を鳴らすことが出来る楽器が選ばれました。息子は特にハンドドラムに興味を持ち、太鼓でリズムを取ることを覚えていきました。

太鼓やドラムの音は「叩くと音が鳴る」というように、自分でアクションを取ると必ず反応があります。自分で音を鳴らすことがすぐ耳に反映されるために興味を持ちやすく、「もっと叩いてみよう」という意欲にもつながりました。

【2】音楽療法を体験してみて

音楽のセッションはハートからのコミュニケーションにつながるため、息子はとても嬉しそうな笑顔で溢れていました。息子の未知な才能や可能性に気づかせてくれ、他人とのコミュニケーションが笑顔で出来た第一歩だったと思います。音楽とは音を楽しむこと、きつい訓練だけでなく喜びの中でできる療育としてもオススメです。

5)通院内容について

息子は7歳から15歳まで、小児精神科と小児科の連携で診察を受けていました。自閉症児に有効と言われる薬を何種類か試しました。自閉症の薬というものはまだ存在していないのですが、息子の幼少期には、様々な疾患や障害の薬を試行錯誤して処方されていたように感じます。16歳以降は、現在通院している精神科で診察を受けています。

【1】通院頻度と回数

息子は10年前から精神科のデイケアに通っています。そこで診察もしてもらえるため、2週間に1回の頻度で診察を受けています。

【2】投薬について

息子は現在3種類の薬を服用しています。これは10年前から変わりません。精神安定剤2種・睡眠導入剤です。投薬のために、定期的に診断をしてもらっています。大きく乱れもないため、ずっと同じ定期薬で過ごせています。

【3】検査・通院・治療費のお金の実情

発達障害のある子どもは、児童精神科や精神科に通院することが多いため、自立支援医療費制度が適応されます。収入に応じて支払い限度額が決められ、1割負担で受診することが出来ます。1回の受診がだいたい1000円以下です。

また訓練は発達支援センターを利用する場合は、精神科ではないので一般の診療費と同等の診療費になります。病院や施設によって金額は変化しますが1000~2000円程度です。
いずれも療育手帳を取得していれば、障害児医療費申請制度で実質無料になります。
お住いの自治体にて申請手続きをして下さい。

病院の廊下

6)治療中の「大変だったこと」

【1】自分自身を大きく許すこと

「子どもに障害がある」ということを受け入れるのは、容易なことではありませんでした。母親だから仕方ない、自分が産んだのだから子どものことは無条件に愛せるでしょう、とたくさんの人から言われました。でもいつも子どもを愛せるわけではないのです。母親も追い詰められています。

「子どもが自閉症であることを受け入れる」とは言葉通りのことではなく、その子の生を受容することになります。その子の生を許す、障害がある子どもの存在を受け入れるということは、その前段階に、その子を産んだ自分を大きく許すという行為があります。

障害のある子どもは偽善だけでは育ちません。きちんと社会に適応できるように育てなければならないのですが、それが出来るのは親だけです。たくさんの葛藤と逃げたい気持ちがありました。しかし、一番きついのは障害のあるこども本人なのです。

訓練と療育・実生活での体験を重ねながら、子どものきつさ、生きづらさを和らげてあげるのが親の出来る大きなサポートだと感じます。

【2】突然暴れ出す息子を叩いてしまったことも

当時は余裕がなかったため、突然暴れだす息子のことを叩いてしまうことがありました。「障害のある子どもになんてことをしたのだろう・・」と今更ながらに思います。親の押し付けで、本人の要求を無理やり却下させたこともたくさんです。

例えば、トイレトレーニングで失敗したときに暴力で指導しても本人には何も伝わりません。本人にとっては「大好きなママから叩かれた」という記憶しか残らないのです。そして叩いた子供は必ず人を叩くようになります。この点は本当に大きな失敗でした。

現在では発達障害のある子どもの療育や子育ては「応用行動分析学(ABA)」と呼ばれる療育が主流です。医療現場・学校現場では多くこの方法が使われています。特に自閉症の子どもには向いていると思います。

<例>

ある1つの出来ない課題をスモールステップで細かく段階を分けていき、出来るようになったらその都度褒めてあげて成功体験を作ってあげます。段階ごとにとにかく焦らず進めていき、最終的には課題そのものをクリアできるようにしてあげて、本人の自己肯定感を高めてあげるという学習方法です。

この時出来ない段階があっても、叱ったりせずに、「まじめにやってえらいね」と取り組んでいる姿勢を認めてあげることが重要です。

この応用行動分析学は、発達の程度や本人の理解度により取り組む内容は違ってくると思いますが、お手伝いや生活スキルを教える際には、多くの子に使うことが出来ます。この方法で、本人も周囲も出来ないと思っていたことが、だんだんと出来るようになっていくのです。これは学習だけでなく、生活面でもあらゆる場面で応用することが出来ます。

「出来なかったら頭ごなしに叱る」とは真逆の療育方法であり、これは本人にもサポートする親側にとっても、とても優しいやり方なのです。

【3】家庭と学校でのサポートについて

発達障害のある子どもを育てるにあたって、環境づくりがとても重要になります。学校とは連携を取りながら、療育方法についてもたくさん話し合いをしました。療育施設に学校の先生が同行してくれたこともあり、本人にとってどの場所でも統一した療育・指導が受けられるように体制を整えました。

(1)自宅でのサポートについて

自閉症の子どもは、予定のルーティーンを好みます。また突発的な予定も苦手です。出来るだけ本人には事前に予定を知らせてあげるようにして、安心して1日を過ごせるようにスケジュールを立ててあげました。

ポラロイドカメラを使って、息子が定期的に行く幼稚園・療育施設・祖父母の家・買い物の場所などすべてを撮影して、写真を使って視覚的に1日の予定が分かるようにしてあげていました。

(2)学校でのサポートについて

息子は地域の小学校へは行かず、特別支援学校へ入学しました。学校でも家庭と同じように、写真を使った視覚的な支援をしてもらうことで、学校での1日の流れを把握できるようになりました。

子育てのイメージ

7)療育と日々の生活習慣で特に大切だと思うこと

発達障害のある子どもは、人よりもサポートが必要ですが、甘やかすことではありません。いずれは親元を離れて暮らすので、程度は違っても自立に向けての子育てをしていく必要があります。

【1】食生活

発達障害や自閉症の子どもは、偏食傾向が強いです。幼い頃は特に、何か1つの食べ物ばかりを食べる、同じメニューに固執する、などこだわりが強いです。親も工夫しながら、食べることが出来るものを少しずつ増やしていくようにしてあげることが大切です。その時も無理強いではなく、時間がかかっても食べることが出来たらたくさん褒めてあげて下さい。

【2】睡眠

発達障害の子は睡眠障害も出やすくなります。毎日同じ時間に寝て、朝同じ時間に起きることが出来るように、生活習慣を整えてあげることが大切です。

【3】運動 

発達障害の子は肥満傾向にあります。これは動きが鈍いことや、積極的に部活動をする機会がないからです。障害のある子の体重管理は親がするしかないので、体重管理だけは幼いころからしっかりしておいた方が良いでしょう。泣くから、とすぐにスナック菓子を与えるのは厳禁です。

8)子供との23年間の子育てを振り返って

【1】現在の状況について

現在息子は24歳、手帳の判定は最重度ですが、本人は常に笑顔です。毎日通所施設へ通い作業をしています。

幼少期が嘘のように穏やかな日々を過ごしています。お話もたくさんできるようになりました。通所施設の方からも可愛がっていただき、余暇活動ではお買い物や散歩を楽しんでいます。高校を卒業した頃から本当に落ち着いてきました。

【2】いま思うこと

私の息子はとても手がかかる子どもだったので、同じ自閉症の子を持つ親たちからも同情されるくらいの大変さがありました。

しかし振り返ってみればよく言われる話ではありますが、息子は私たち親の成長のために来てくれたと感じます。息子に障害があるという事は、私の生きてきた世界が大きく広がりました。私自身もたくさんの人と出会い、たくさんの経験をさせてもらいました。主人も同じように感じています。

【3】同じ境遇の方々へ私が伝えたいこと

もしお子さんが発達障害かもしれない、と悩んでいるならば、最初の診断を受けるまでの時間は出来るだけ早いほうが良いです。「なぜ自閉症になったのか」という原因や遺伝的な犯人捜しをするよりは、前を見て気持ちを切り替えて早めに療育にとりかかるのが得策です。

特に自閉症は、現代の医学では未知な部分も多い障害です。早めに療育に取り掛かることで、本人が過ごしやすい環境を提供してあげられるため、本人が周囲に言いたいことを伝えるためのスキルを身に着けることが出来ます。

わが子に障害がある、とわかったら絶望します。たくさん泣きます。しかしお母さんもなるべく早く立ち直って覚悟を決めることが大切です。お子さんの早期療育は、10年、20年後の社会適応力に大きく影響します。

「発達障害があるのではないか」と不安に思うよりも、なるべく早く信頼できる相談機関や医師に診てもらって、良き療育指導者を探してみて下さい。

【4】子供は自分の気持ちを思い切り伝えようとしている

自閉症児の彼らにとって、泣く・多動・暴れるなどの行動すべては、自分の気持ちを訴えかけるための切実なコミュニケーション手段なのです。それなのに、母親が体裁を気にして子どもを怒ってしまったら、その時子どもにとっての味方は誰も居なくなるのです。

まず母親も自分を責めないこと、子どもが困った行動をし始めても翻弄されずに、子ども気持ちを切り替える次の手段を何通りか提供してあげましょう。子どもがなるべく早く気持ちが切り替えられるように促してあげましょう。

まとめ

【1】お子さんに発達障害があるなしにかかわらず、子育てとは「出来ないことを出来るように教えていく」です。

【2】親の仕事はそのサポートをすることであり、発達障害の子にとって過ごしやすい環境を作ってあげることです。

【3】自閉症の子どもは記憶を消すことは出来ません。忘れることがないのです。つらい体験も記憶に残りますが、幸せな体験で記憶を更新させてあげることは出来ます。子どもも「自分に寄り添ってくれる人がいる」という気持ちが嬉しく、日々記憶を上書きしていきます。お子さんとたくさんの喜びを共有してください。

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