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私の父親は生前「アルコール性認知症」という病気でした。あまり馴染みのない病名ですが、アルコール依存症から認知症につながるこの病気は、高齢者だけではなく若い人にも発症する可能性がある病気です。親御さんが大酒呑みで認知症傾向にあるという同じような悩みを抱えておられる人も多いと思います。

そんな時に、みんながスムーズに行くような対応を取るためにはどうしたら良いのかということをシェアさせていただけたらと思います。

<執筆者プロフィール> 

【ペンネーム】ふわり 

【年齢(性別)】46歳(女)

【出身】 大分

【職業】自営業 

<患者プロフィール> 

【年齢(性別)】65歳 (男)

【発症年齢】62

【職業】無職 

1)「アルコール性認知症 」とは?

私の父親は20歳の時から毎日大瓶3本のビールを飲んでいたようです。完全なアルコール依存症でした。いつも目が虚ろでしたが、飲酒を40年続けたのでアルツハイマーの症状が早くに出てしまいました。

【1】父の生活習慣とは?

父親は会社員でしたが55歳で早期退職したため、日中は家にいる事が多かったです。母親と2人で住んでいました。

その後は朝からビールを飲むようになっていました。胃がんも患ったのですが、がんの手術後もビールを辞めることはありませんでした。

【2】娘の私から見て、父が認知症になった考えられる原因

私が物心ついた時から常に酔っ払っているような父親でした。お酒を飲まない日がなかったので、常に酔って機嫌が悪い父親だと思っていました。父の生活習慣は以下のようなイメージでした。

(1)飲酒は毎日大瓶3本のビールを欠かさない 

(2)毎日のおつまみは、魚1匹と豆腐のみ

(3)激しい偏食

これらのことから、今思うと父親のアルコール依存症歴は何十年と長く、アルコールと偏食で栄養バランスなど考えられてなかったため胃がんも患い、脳に栄養など回らなかったのでは…と思います。

【3】気づいた当時の症状と進行について

アルコール性認知症の症状は、少しずつ悪化する人もいれば、急激に症状がひどくなる人もいます。父は急激に悪化してしまったタイプでしたが、その前には予兆もたくさんありました。

父親は散歩に行く事が好きだったのですが、度々迷子になるようになりました。家のすぐ近くにいても、家に帰るまでの道がわからなくなってしまう事が多くなりました。

本人は「狐に騙された」と言っていましたが、家から数百メートル離れた場所からも帰ることが出来なくて困っていました。本人が近くの家に行って、事情を話して電話をしてもらい、母親や娘である私が迎えに行くことがしょっちゅうでした。

2)アルコール性認知症の代表的な症状 

アルコール性認知症とは、アルコールを多量摂取することによって発症します。

(1) ビタミンB1欠乏による栄養障害であるウェルニッケ・コルサコフ症候群と呼ばれる症状

(2) アルコールの飲みすぎから脳の血管の障害になり「脳梗塞」などが起きる

その結果に、アルコール性認知症が発症してしまいます。アルコール性認知症も若年性認知症と同じような症状で進行して行きますが、発症当時の10年前はまだはっきりとした病名がわからず、なぜ50代なのに認知症のような症状が出るのかわかりませんでした。

本人も急に色々なことがわからなくなり戸惑っていましたが、年齢的に認知症ではないと言い張っていました。しかし確実に話が通じなくなっていく父親を見ていて、可哀想でもあり情けなくもあり複雑な思いでした。

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3)発症当時はどのような対処をした?

母と私が病院へ連れて行こうと思っても、父は「認知症のはずはない」というプライドが邪魔をしていて、何度も病院へ行くことを拒みました。それでもなんとかなだめながら3ヶ月ほどした時に、親戚みんなに説得をお願いしてほぼ無理矢理の形で病院へ連れて行きました。

【1】病院での検査

個人の精神科病院も考えましたが、大きな病院の方が良いだろうということで、地元の総合病院を選びました。病院で実際に行われた検査は、まっすぐに歩行が出来るか、話はきちんと出来るかなどの検査と、簡単な知能検査のようなことをされていました。 

【2】病院(専門医)で実際に行われた治療方法

アルコール性認知症の特徴として、父親は突然大声を出す、突然暴力を振るうなど行動に抑制が効かなくなってしまうことがありました。治療方法としては投薬で精神安定剤を服用することでしたが、断酒を勧められました。

【3】特に効果を実感したのは

とにかく断酒しかないということで、父は40年飲み続けたアルコールを辞めてもらうことにしました。しかし家にいては断酒することは難しかったため、個人の精神科病院に入院して断酒をしました。

とりあえずお酒を抜かないと普通の精神状態には戻らないことと、脳が萎縮して行っている状態なので危険だと説明されました。

4)入院中の過ごし方とは?

【1】入院中はどんな日々を?

アルコール性認知症で入院すると、まず解毒とリハビリを行います。また生活習慣の改善として、入院中はとにかく決まった時間に起きて決まった時間に寝ることの徹底をします。その後はデイケア利用で体を動かしてストレスを発散させてもらっていたようです。父親は利用しませんでしたが、依存患者が通う自助グループに参加をする人もいるようです。

【2】入院期間中困ったこと

入院中も自分の思うままに行動することがあったようで、何度も脱走を試みて度々病院から電話がかかっていました。 入院患者さん同士で喧嘩や口論をすることも多く、入院中も問題行動は続きました。

入院中はとにかく脱走を試みていたため、納得して入院してもらうように父親にも何度も言って聞かせました。しかし断酒しても、父親はかなりアルコール性認知症の症状が進んでいたため、認知症の症状が治ることはありませんでした。

面会に行くたび目が虚ろで生きているのか死んでいるのかわからないような父親を見るのは本当に辛かったです。

【3】父の断酒中。私が感じていたこと

断酒しても自分の行動を抑制することが出来ない父親を見て、私は悔しい思いが先に出てしまい、何度も父親を怒ってしまいました。父親の死後も何年か「これでよかったのかなあ」と思うことがありました。

病院の先生からも「怒っても解決することは何もない」と言われていたのですが、娘の私としては父親の情けない姿を見ることがとても苦痛で、つい怒ってしまっていました。

5)自宅で気をつけたこと・家族のサポートについて 

【1】専門機関への相談を

私は実家の近くに住んでいましたが、同居していた母は長い間父親のアルコール依存症に悩んでいました。結果的に母親も鬱症状がひどくなってしまっていたのです。

お酒を飲まないと暴れる、飲んでも暴れる、というアルコール中毒患者は、正直一般家庭では対処することが出来ないと思います。父親のことでもっと早くに専門機関等で相談することが出来ていたら、と思いました。

【2】予防において毎日の生活習慣で特に大切だと思うこと

(1)食生活 

バランスの良い食事をとることはとても大切だと言われていました。父親は飲酒に加え、毎日同じものを食べ続けていたので、栄養面でのバランスも悪くなっていました。

(2)睡眠 

アルコール中毒の人は、お酒を飲まないと眠れないと思っています。そもそもお酒なしで眠れる習慣をつけておくことが大切です。

(3)飲酒

飲酒を毎日している人はとても危険です。また飲まないと決めた日にも飲みたくなる、お酒を飲まないとイライラするという人は、早めに病院で相談することをオススメします。

【3】通院・治療費のお金の実情

精神科の通院も基本的に通常の病院の治療費と同じで医療保険が適用されますし、入院すれば高額療養費制度を利用することも出来ます。支払いの金額は所得により異なりますが、だいたい44、000円~140、100円(1ヶ月)でしょう。

父親は入院していたので、毎月の支払いは5万~6万円程度でした。
その後のケアとして、要支援・要介護と認定された場合は、プランに基づいて介護保険を利用したサービスを受けることもできます。
アルコール依存症のみの治療に対しても医療保険が適用されます。

6)病気の発症から現在まで

父親はアルコール性認知症がかなり悪化してしまい、最後には寝たきりになってしまいました。病院で死を迎えましたが、好き放題お酒を飲んで認知症になってしまい、この人の人生はこれで良かったのかと不思議でした。

【1】闘病生活を振り返って感じる意味付け

父親はアルコール性認知症を通して、自分で伝えられない孤独や無茶をすることで、自分の意思を表現していたのだと感じます。しかしそれはあまりに周囲を振り回す行動でした。父親の介護を通してきつく辛い思いもたくさんしましたが、精神病院の人や周囲の人からたくさん励ましていただきました。

【2】アルコール性認知症患者さんのご家族の方へ

アルコール依存症になる人はたくさんの寂しさを感じている人が多いです。私の両親は長く不仲でしたので、会話のない夫婦でした。父親もそんな家庭内孤独を感じていたのだと思います。

寂しいと孤独を紛らわすためにアルコールを飲むようになってしまいますので、「大切な人がアルコール中毒かも」と思った時はたくさん話をしてあげてください。一緒に話す、一緒に笑う、それだけで心が満たされることも多くあります。また介護をしていて、どうしても情けない気持ちになってしまうこともあります。それも当たり前だと思います。

人の世話をするということはとても大変です。親がだんだん認知症になるということは、子どもにとってショックですが、私の父親の場合発見した時はもう改善が難しい時期になっていたので、父親も孤独と葛藤から解放され早く楽になれるといいなと願っていました。

色々な親子のケースがあると思います。いつも順風満帆ではありません。偽善ではなく自分に正直な対応をすることが、介護にとって誠実なことだと思います。

まとめ

アルコール性認知症は年齢に限らず、アルコールの多量摂取で発症します。歩行がふらつく、目が虚ろ、興奮しやすい、物忘れがひどい、などの症状が見られたら、出来るだけ早く病院へ連れて生きましょう。

発見が早ければ、脳に起きる障害のリスクを大幅に減らすことが出来るのです。アルコール性認知症を予防するためには、まずは断酒です。そしてバランスの良い食事をして、生活習慣の改善を家族みんなでして行くように心がけましょう。

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